EDLプログラム孫助教が「遊牧と定住の人類学:ケニア・レンディーレ社会の持続と変容」を出版いたしました。

本書「はじめに」より:
「本書は、干ばつという自然の脅威と常に隣り合わせで生きるラクダ遊牧民の民族誌である。わたしはこれまで、ケニア北部の半砂漠地帯に住むレンディーレ社会について計一三回、二八ヵ月間のフィールドワークを行なった。ケニアの最も辺境といわれるレンディーレ・ランドにおいても、人びとの暮らしは外の世界と無関係ではなかった。本書のタイトルに示したように、彼らは今、まさに「遊牧」と「定住」のはざまに生きている。過去三〇年にわたり、ケニア政府や開発援助機関などによって実施された定住化政策や開発計画が、彼らの伝統的な遊牧生活に大きな変化をもたらした。定住化が進み、外部世界との接触が増えるにつれ、進学や出稼ぎのために故郷を離れる人も増えた。しかしながら人びとの大半は、遊牧こそが干ばつなどの自然災害に耐えて、この不毛な地に自立して生きる唯一の手段と信じ、家畜とともに暮らしている……本書が遊牧という生き方の理解に少しでも貢献できれば幸いである。」